世界的カスタムビルダー、『アレンネス』。米国のサンフランシスコからほど近いサンレアンドロのガレージからキャリアをスタートさせ、その後、類まれな独創性とデザインセンス、日々磨きをかける加工技術を武器にして多くのカスタムマシンを発表。そのどれもが無双のオリジナリティを放ち、当時のカスタム界に衝撃を与え続けたトレンドセッターである。
1970年の創業から、その希代の才腕で第一線を走り続けて来たアレンネスだが、2019年にその生涯をまっとう。「マスターオブカスタマイザー」の称号を持つ彼のDNAは息子コーリーと孫のザックへと純度高く受け継がれている。
ここではアレンネスの軌跡と、現在会社をマネージングするコーリー親子に焦点を当て、この世界的メーカーの本質的な魅力を掘り下げたい。
(取材協力/スズキ&アソシエイツ)
今やカスタムファンの間では神格化された存在のアレンネスは、1970年に、カリフォルニア州サンレアンドロでショップをオープン。その名は「アレンズ・モーターサイクル・アクセサリーズ」であった。
それまでアレンは家具運搬のドライバーとして生計を立てる傍らで、バイクビルドに専念。独立して自店を開いた後も、日中は外注のペイントに携わり、夜にバイクを触る日々を送っていた。
元々ペイントを得意としていた彼は、まだ仕事のない当時は外注を受けて生活の基盤を固め、夜になるとコツコツとバイクを触っていた。そして、その規格外の才能は必然的に開花する。
誰にオーダーされたわけでもない自身のマシンには、独創性が溢れ、前衛的なスタイルの中にもオートバイとしての美が内包。それらは常に改良を続けた愛車の「Untouchable」を皮切りに、瞬く間に広く知られることとなった。
転機となったのは1977年のオークランドロードスターショーで、100キュービックインチのナックルモーターにマグナソンスーパーチャージャーを搭載した「Untouchable」がショーオブショーに選ばれ優勝。以降も、アイアンショベルを2基掛けした心臓部と革新的なセンターハブステアリング機構を持つ「Two Bad」といった傑作を多数輩出していった。
各地のバイクショーやメディアを通してスターダムをかけ上がったアレンは、オンリーワンのカスタムビルドに専念する一方、いち早くパーツやグッズ販売に着手。量産システムを構築していった。
そして、「アレンズ・モーターサイクル・アクセサリーズ」から「アレンネス・エンタープライゼス」へと社名を変え、ローカルショップだったその姿はひとつのメーカーと呼べる規模にまで成長してゆく。
その間、アレンネスの傍らで経営手腕を発揮したのが息子のコーリーで、彼は生まれながらに父のカスタム世界に浸り、自らもメタルワークの中で生きて来た生粋のサラブレッドだ。
また、2世ビルダーにありがちな見劣り感はなく、それどころか2004年の人気TVプログラム「The Great Biker Build-Off」では父アレンに競り勝つという快挙を遂げた実力者である。
紛れもなくトップビルダーのひとりに名前の挙がる息子コーリー。そしてその息子、つまりアレンの孫になるザックもただの3世には留まらない偉才を保持。わずか10代の時に製作した数台のカスタムで脚光を浴びた新星だ。
2019年にこの世を去った生きる伝説はそのまま伝説となり、彼のまばゆい血は息子から孫へと継承。老父に決して恥じることのない次元で、現在もオペレーションされている。
アレンネスから息子のコーリー、その息子のザックへと親子3代に渡ってバトンをつなぐ「アレンネス・エンタープライゼス」。父親の名声に何ら劣ることのないコーリーとザックがオペレーションするパーツビジネス、そして見据える未来について話を聞いてみた。
偉大な父の元に生まれ、幼少期から早くも関わりを持つことになったカスタムビルドの世界。コーリーネスは2世にありがちな重圧に押し潰されることなく、逆に着々と光芒を放ち、その存在感を確立してゆく。
当時、アレンネスが早くからパーツビジネスに取り組み、その運営を軌道に乗せたのは、実は右腕として采配をふるったコーリーのビジネスセンスによるところも大きい。
‘70年代から年に数回、デイトナやスタージスなどの各地のバイクイベントでスペシャルメイドのカスタムバイクを披露してきたが、同社のメインはあくまでもパーツやグッズ販売である。それは現在も変わらない慣習だ。
「今はパフォーマンスバガーのカスタムデザインと快適性のすべての側面に焦点を当てたパーツを開発しているよ。もちろん毎年1台か 2台は新しいカスタムバイクも作り続けているんだ」
プロダクトデザインとビジネスオペレーションの責任者であるコーリーは、現在のアレンネス社のパーツやカスタムバイクといったあらゆるデザインの礎を築いた立役者である。その紳士的風貌の裏には、驚くほど輝かしい功績が隠されている。
「ネスファミリーは常にカスタムバイクのあらゆる側面に夢中になっている。僕たちは毎日、毎晩、バイクを作り、乗り、考えているんだ」
コーリーの息子、ザックも親の七光りなどではない非凡な才を持ち合わせている。既に高校卒業前の10代に数台のカスタムバイクを製作。そのクオリティの高さで、単なる3世では片付けられないタレント性を世界に周知させた。
また、ザックはハーレー以外にもインディアンやヴィクトリーモーターサイクルズとも太いパイプを持ち、クロスオーバーに活動。そこで得た経験則を自社のビジネスに活かしている。
最後にコーリーはこう話を結んでくれた。
「これからもスタイルだけではない、機能とパフォーマンスを備えたカスタム製品を作っていきたいと考えている。父が50年以上前に始めた遺産を続けていきたい。
オートバイをカスタマイズしたり、新しい製品を開発したりすることほど幸せなことはないよ。僕たちはそれが大好きなんだ! もうこれがないと息ができない! これからも父を誇りに思い、創造し続けるよ」
バガースタイルとは一線を画した、パフォーマンス性能に大きく振った形の『パフォーマンスバガー』。昨今アレンネス社が推し進めるのが、この勇壮なカスタムデザインである。
上/軽量化がほどこされたビレットアルミニウム製ライザー。高さ10”、手前に1-1/2” キックバック。純正フロントエンドにも使用可能。下/2015年以降のロードグライド用ビレット製トリプルツリー。ダイレクトボルトオン設計のためイグニッションスイッチアッセンブリの位置変更は不要。
ミラーヘッドとステムにビレットアルミニウムを使用した流れるようなデザインが特長。ヘッドとステムをつなぐピボットハードウェアには耐久性のあるステンレススチールを採用。
2015年以降ロードグライド用イグニッションスイッチカバーキット。イグニッションスイッチの移設の必要がないスイッチカバーキットで、Method Kickback Riserと最良にマッチ。
上/フォークブレイスを備え、アグレッシブなライディングにも耐えうる剛性を確保。パフォーマンスに重きを置いて設計されたロアレッグ。下/FLTツーリングとM8ソフテイル適合の49mmフロントフォークチューブ。特殊コーティングのオールブラックとゴールド仕上げの2種類を用意し、純正と社外のフロントエンドに対応。
CNC削り出しビレットアルミニウム製の4ピストン・フロントラジアルブレーキキャリパー。キャリパー内側にマシニングされた冷却フィンがブレーキング時の熱を分散。
レース環境にインスパイアされてデザイン。素材に6061-T6 鍛造アルミニウム製を使用し、細部にまでハイレベルなCNCマシニング加工を実施。DOT、JASO、TUVの各規格をクリア。
国内総輸入元 | スズキ&アソシエイツ |
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住所 | 愛知県西尾市羽塚町寅山42番地1 |
電話/FAX | 0563-55-4700/0563-55-4701 |
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