
H-D FLHX 2007
LUCKYS CYCLE SUPPLY
ツアラーで追いまわす
周回遅れのシンフォニー
「街乗りも出来たらええんすけど、とりあえずツナギ着てサーキット走って膝をすろうかなと。そんな感じで作り始めましたね」
関西地方のスピードバスターとして令名を馳せたショップのレーシングマシンだ。しかし、思わずニヤリとしてしまうのは、選んだ車種がツアラーモデルだという点。この、安易にスポーツ系に振らないあまのじゃくさが『ラッキーズ』の美質で、そこに結果を残すのもまた、同店固有の胆力(たんりょく)だ。

現在、現行のパンアメリカを駆りサーキットを走る主人の澤田さんだが、『やり残した感』を覚えて今回のツアラーモデルに踏み出したと、目尻を下げる。
「ツアラーにしたのは別にスポーツバイクじゃなくてもええやろっていうのがあるのと、サーキット行くとスポーツバイクの人が偉そうにしてるので、なんだおまえらっていう感じですね。正直やられてますけど(笑)」

澤田さんのウィットに富んだ語り口調はいつにも増して心地がいい。そして、そんな氏がやるからには当然生半可では終わらない。
まずホイールは、上質なタイヤを履かすため前後17インチに換装。本音を言えば最上のスリックタイヤを選択したかったところだが、年式が合わないため今回はダンロップ製ラジアルをセットした。

次いでフォークは、ツインカムソフテイル用のインナーを流用し、約60mmほど伸長させ車高をアップ。リアには安定のオーリンズ製を用いるが、最高グレードではないタイプを付けたのにはちょっとした趣意がある。
「以前使ってたやつで凄い気に入ってるんです。あとええやつええやつで組んでいってなんかドバイの金持ちみたいになるのが嫌で(笑)。お金出して買うのは誰でもできますから」と、この辺の反骨的思考が氏の原動力だ。

異数なシートに目を移したい。約10cmかさ上げされたポジションは、かつて自分自身のドラッグレーサーに戦備していたバックステップとの均衡を計ってのもので、車体を倒し込むときの左右への屈伸や体重移動が最適になるようスタンバイ。
曰く、それまでの和式便所だったものを洋式に換えてあげたと、分かりやすい例えで解説する。

「膝をするのは目標でもなんでもなくしょっぱなからやりたいですね。ただまあ、やるからにはちょっとやるやん! ぐらいにはなりたいかなと(笑)」
年式が古くてパワーもおさえたマシンで皆さんを追っかけてあげた方が楽しいかなと思うと、多分に甘味をはらんだ氏のトークはなるほど、気味がいい。
HARLEY-DAVIDSON FLHX 2007 DETAIL WORK

HANDLE
オーディオシステムを脱着し、その箇所から貫通させる格好で6.5インチライザーとハンドルをセットした。

FRONT WHEEL
2013年式FLHTCU CVOの17インチアルミホイールを流用。そこにダンロップ製ラジアルタイヤを履かす。

FRONT END
フォークインナーチューブはツインカムソフテイル用を使用し60mm伸長。フェアリングはノーマルとなる。

PRIMARY COVER
カバーには神戸シルバースミスフィンによる彫金が入る。バックステップは自身のドラッグレーサーより活用。

SEAT
左右への屈伸運動と体重移動の向上を計りワンオフ。バックステップと最適化するよう約10cmかさ上げされた。

MUFFLER
マフラーはレーシーなショートタイプに。2イン1デザインのエンド部にはBUBマフラーより拝借して改良。
LUCKYS CYCLE SUPPLY
| 住所 | 兵庫県加古川市尾上町養田431-6 |
|---|---|
| 電話 | 079-422-5660 |
| FAX | 079-422-5660 |
| SHOP | LUCKYS CYCLE SUPPLYのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
| 定休日 | 木曜日 |

BUELL LIGHTNING X1 2000
H-D U 1942







