H-D FL 1951
SHIX MOTORCYCLES
白昼コールをきる
ぶっこみの白い光線
『シックス』節炸裂のチョッパーである。大切なのは、余計なことをしないこと。伝家の一家言(いっかげん)を胸に、手を進めていくとおのずとこういうカタチになる。それがつまり、大阪『シックス』の作風であり、汗水がよく似合う武骨なメカニックたちの仕事だ。
そもそも、オートバイという乗り物に偏愛した作り手によるカスタムだから、二輪が本来持つ『麗姿』をスポイルすることはない。
素材の旨味があって初めてその先の味付けが広がるのを理屈ではなく体で覚え込んでいる練達によるチョッパーは、可もなく不可もないと中立的な立場を取りたいところだが、可でしかない。
代表西村さん直系の現場責任者、松村さんに聞けば、『コンパクトなフリスコスタイル』をテーマにして手がけたものだそうだ。加えて言えば、往年のアメリカの雰囲気も残したようなド直球なチョッパーが与えられた情味である。
「希望はざっくりしたチョッパーということだけで、あとはだいたいお任せでしたね。まあこれがウチのチョッパースタイルかと言われればそうかもしれないです。でもこれは、あまり使わない珍しいパーツも入ってます(笑)」
その最たる例が、アルミ削り出しのナロートリプルツリーだろう。普段からあまりビレットパーツを使わないながら、いざこうして癖のある一品を取り付けてもなんら疎外なくフィッティング。この辺の酌量の巧さはさすが歴戦の士である。
「これはエンジンが面白いんですよ。もともとベース車にストローカーが入ってて凄い速いです。その辺じゃなかなかスロットルを開けれないですね(笑)。圧縮もかなりあるし、排気量はたぶん1400ccちょいぐらいじゃないですか」
以前はドラッグレースにも参戦していたという車両。そのホットなエンジンを心腹に抱き、最大限乗り味に酔いしれられるよう前後21/18インチホイールで軽快なライドフィールを摂取。そしてロボハンを握る手と、若干足位置を前にしたフットコントロールとの力点バランスもあいまって、大阪の雑踏をひとすじの光線がはじけ飛ぶ。
「総括してですか? どうでしょう、でも個人的に好きなチョッパースタイルなんで乗っても楽しくて、置いて見ても凄く見応えがあると思いますよ」
しかし、その定型文的感想だけではもちろん終わらない。塗面のパールホワイトは、漫画『ぶっこみの拓』の外道の秀人カラーだと、あの年代の人間の共鳴を呼ぶ、時計仕掛けの感動が横たわっている。
HARLEY-DAVIDSON FL 1951 DETAIL WORK
HANDLE
オフセットライザーとハンドルの2段階で曲がった感じをアクセントとして演出。ハンドルはワンオフによるもの。
FRONT FORK
純正35φフォークにミニドラムブレーキをセット。トリプルツリーはビレットのマリンズチェーンドライブ製。
GAS TANK
タンクは普遍的端正なスポーツタイプを。塗装は外道の秀人カラーに。ピンラインはノールペイントが担当した。
ENGINE
エンジンはS&S製ストローカー仕様となる。かつてはドラッグレースに出走していたホットなスペックを保持。
SEAT
デザインを損なうことなくホールド性にも配慮したハイバックシート。荷物満載のツーリングにも映える外貌。
MUFFLER
サイドバイサイド製のエキパイを使い加工。ごくわずかにラインを下側にさげて好戦的なイメージでまとめる。
BUILDER’S VOICE
SHIX MOTORCYCLES
住所 | 大阪府八尾市西高安町1-83-1 |
---|---|
電話 | 072-924-7540 |
FAX | 072-924-7543 |
SHOP | SHIX MOTORCYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日 |