H-D FL 1957
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
氷上から飛びたつ
白銀のペインキラー
近年は、中排気量車のコンプリートカスタム『サンダーモーターサイクルズ』の日本総代理店として認知を広げ、ユーザーの意向を汲み取ったサービスで瞬く間に評判を集めている。しかし一方で、本陣のオンリーワンを創出するカスタムビルドの方も前のめりのスタンスは変わらずだ。
「今回は本当にシンプルに。フレームから全部やってるんだけど、あまりそう見えないようにっていうのかな。めちゃめちゃイジってるんだけど自然に見えて、余計なことをしない、昔からあったような感じにまとめてみた」
これまで数多くのフレームワークを造成してきたが、今回はシングルダウンチューブの骨格にパンヘッドモーターを搭載。そこに店主野呂さんのワイルドカードでもあるスチールではないアルミ材を使った鈑金外装を合わせ、トータルバランスがととのえられた。
まず、滑らかなアールを基調としたガスタンクは既製品の丸みが気に入り、それを加工したものだが、結局はイチから製作した方がラクだったほどの手数が要されている。「めちゃめちゃアールが良いなと思ったけど使えるのはほんとその部分だけだったかな」。敢えて分割としたタンクは上下、左右のサイズ感を縮めるため鈑金で叩き出して成形したものだ。
また、同じアルミ材を使ったリアフェンダーも19インチという異色なホイールサイズにフィットするよう改良。上下を詰めるなど数回の溶接で均したものだが、勿論そうした労力の跡を残すようなこれ見よがしな悪手はしない。綺麗さっぱりとスムージングして、更にそうした部位は見えない箇所へと収めてしまうのが、この業界に長く携わる有段者たちのカスタムマナーだ。
アルミ材を使った外装パーツは『車坂下』が羽をくつろげる神聖領域だが、今回はそれだけに留めずピンストライパー、ポッツさんによる手描きのペイントを入れることで完成度のシナジーを計っている。そして、かつて自らもペインターとしての顔を持った野呂さんとの共作は、互いに専門性の高いやり取りを繰り返した後にしかるべき水準で着地する。
カスタムビルドばかりかサンダーモーターサイクルズや他業種など、多方面へと活動の場を広げている。
そんな氏にとっては、努力をしているとも思わずに努力していることに意味がある。努力していると思ってする努力は、元を取ろうとするから小さく収まってしまう。でもそれを努力と思わずに楽しんでできるから、想像を超えた可能性が広がってゆく。
HARLEY-DAVIDSON FL 1957 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは独国製セリアーニレプリカで三つ又をスムージング。ハンドル&ライザーはFORK製を選択する。
GAS TANK
得意のアルミ材を使ったワンオフタンク。アールを基調とした造形にポッツさんによる手描きペイントが入る。
FOOT CONTROL
操作系も単一で製作。車体全体を構成する丸みを帯びたデザインはディテイルにも踏襲。ペグはBMX用を加工。
OIL TANK
アルミで作ったオイルタンクにはバッテリーも収納。タンク前の上下をつなぐフレームにはスイッチ類を配備。
REAR FENDER
19インチのホイール径に合わせフェンダーを加工、上下を詰めてフィッティング。ペイントはポッツさんの仕事。
MUFFLER
マフラーは左右出しでカスタム度を高める。フェンダーステーやチェーンカバーにはスロッテッド加工が入る。
BUILDER’S VOICE
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
住所 | 埼玉県越谷市南荻島4015-9(Google MAPを開く) |
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電話 | 048-940-5118 |
WEB | KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00/11:00 ~ 18:00(カフェ) |
定休日 | 木曜日、第3日曜日 |