H-D F 1949
SHIX MOTORCYCLES
いらないことはしない
肩の力を抜いた腹式呼吸
大阪の『シックス』と言えば、古くからチョッパーに乗る人間の間ではそれはそれは音に聞こえた存在である。しかし、その評判が広範囲に渡ってあるかといえば決してそうではない。あくまでもピンポイント。同じ度数で酔える『通』な人間の琴線にのみ刺激を与え続けてきた関西の顔役だ。
さて、こちらのパンヘッド。シックスらしさ全開である。トラディショナルなチョッパーフォルムに、外装とフレームを同一としたペイントワーク。一般的に取っかかりやすいダーク系で着色するのではなく、それとは対極的な、目にも鮮やかなイエローである。ともすれば敬遠しがちな色味を、こうもしっくりと膳立てしてしまう辺りに歴戦の武勇が鳴りをひそめている。
「色が派手な分ほかは限りなくシンプルに作ってます。ウチはわりとこう、細かい、いらないことはせずに全体のバランスにこだわる感じです。あとはやっぱりバイクなんで、走らせてどんだけ楽しいかとか気持ちよかったりとかですね」
重点を置く箇所は毎度決まっていて、チョッパーを製作する過程でそこを外すことは無い。ブレがないといったら大げさだが、要は自店のスタイルを確立しているため、『迷い』のたぐいの生まれる余地がないわけだ。
かの時代のアウトローなバイク乗りが好んだシルエットに当たりを付け、そのカタチを現代に再現する。ベースにあるのがそうした普遍的な端整ゆえに、新たに吹き込むものもおのずと安定した見栄えの良さで界隈を沸かしてしまう。
そして、走りもなかなかだ。大阪の高槻市から泉佐野市を通る国道170号を流した時である。旧車だからといって下手に加減しないメリハリの効いたスロットルワークで雑多な街並みを駆け抜ける。交通量の多いそこを、軽やかな排気音と共に縫うように弾ける姿はなんとも爽快だった。
「走りっぷり良かったですか? でもこのパンはわりと力が抜けた方です(笑)。いい感じにへこったエンジンですね。本来は多分もうちょっと元気だと思いますけど、でもこの力の抜けた感じがすごい乗ってて気持ちいいです」
工場を任されるメカニックの松村さん。そして事務方を一手に引き受ける代表の西村さん。互いにことさら干渉しあうことなく、適度な距離感を持って運営される『シックス』には、このチョッパーのようにほど良く力の抜けた空気が流れている。つまりその全体的なムードが自然と手掛けるチョッパーへと伝染し、苦み走った男ぶりを醸し出している。
HARLEY-DAVIDSON F 1949 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークはオリジナルのグライドフォークで、ボトムケースはノーマルをスムージング。ポイントに段差を付けた。
GAS TANK
スポーツスター純正レプリカをハイマウント。塗装はオーナー所有の欧州車と同じカラーコードでペイント。
ENGINE
Fモデルのパンヘッドモーター。松村さん曰く、派手なチョッパーとの相性が良いエンジン造形とのこと。
FOOT CONTROL
余計なことは何一つしていないフットコントロール周り。ステップ位置を若干前にしてスーサイドクラッチ仕様に。
MUFFLER
マフラーには適度なボリュームを持ったパウコ製ショットガングースを選択。わずかに長さを調整してマウント。
SISSY BAR
シッシーバーはワンオフ。ツーリングなど走るお客さんが多いため『シックス』ではシッシーバーの依頼は多い。
BUILDER’S VOICE
SHIX MOTORCYCLES
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