HARLEY-DAVIDSON ULH 1937
STOOP MOTORCYCLES
ナイーブが過ぎる
ベイビーウォンチュー
いきなり暴漢に横からパンチを喰らう。とまではいかないけど、両手をポッケに突っ込んだまま段差につまずいて顔着するぐらいの意表はある。何がって? ストゥープ店主のモーリーこと生森さんのこんな返しがである。
「今回はずいぶんとストゥープっぽくないバイクですね。てっきりカチッと作り込んだチョッパーばかりが好みなのかと思ってましたよ」。さて、ここからが例の顔着の始まりはじまり。
「ああ、大嫌い。乗ったことないもん俺。お客さんのであれば作るけど自分のはいつもああやって雑な感じ。元々こういうのが好きだから」
まさかのコメントである。ともすれば、自分の仕事の全否定ともとれるショッキングな内容をタバコの煙を吐き出すのと同様、ごく当たり前に言ってのけるそのスタンスにまたしても前のめりにならざるを得ない。
「なんにも工夫はしてないんだけどね、変な味付けはしてないやつ。作り込んだのだと何着て乗って良いか分かんないじゃん。でもこれだと別に何着ても良いし。サンダルはあれだけど(笑)」
人のハートをつかむのが実に巧みだ。話に耳を傾ければ、決して全否定なんかじゃなく、自分の好みと、仕事で製作するチョッパーへの愛情。ちゃんとこの二つにたっぷり愛情を注いでいるのが分かる。そしてそれは、とぽとぽと、タバスコを垂らすような刺激的な響きを持って胸に迫って来る。
「欲しかったサーティーズのレプリカフレームが見付かったからそれを使って、あとは油圧のドラムを入れてラインも昔のゴムのにして、それぐらいかな。後ろのホイールは目いっぱい前に詰めつめにしてフェンダーとラインを合わせてる。ここがずれるのが嫌でさ」
でもそれがなんだって話だけど、と氏は言うが、こちらは気が気じゃない。ここで割愛した内容も含めて、こだわる箇所が生もののようにナイーブ過ぎて油断が出来ない。チェーンのひとコマ単位で全体のバランスを吟味するその姿勢はやはり、凡人の感覚を越えたところにある。
今回はモーリーさんの愛車ということもあって、日を改めて走行シーンだけを撮ることにした。そして撮影当日目にしたのは、まさかのゴールドカラーに色を変えたULH。わずか数日間でイメチェンしたのはもちろんこっちの方が良いから。粋だから、である。そしてこれが同店の中心にズンと構えた判断基準で、感受性が高すぎるクレイジーはすべてここからスタートしている。
HARLEY-DAVIDSON ULH 1937 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドル周りは有り物のドラッグバーとライザーを選択。愛車は作り込まずラフなテイストが好みとのこと。
FRONT FORK
ネックが少し立ったサーティーズのレプリカフレームに合わせた33.4φフォークは約8インチほど延長。
FRONT WHEEL
フロントにハンバーガードラムを装着。あんまり気合を入れてる感じにしたくなかったというパーツ群で構成。
GAS TANK
タンクはヘッドライトと同じくヤフオクで競り勝った戦利品。よりベストを目指してこの後ゴールドに変更。
ENGINE
余計なことはしていないと言う外装同様、エンジンはストックでリンカートキャブをセット。マグネトーは純正品。
MUFFLER
パウコ製で販売されてたような雰囲気を狙ったマフラーはワンオフ。全体のイメージと違和感なく調和する。
BUILDER’S VOICE
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