HARLEY-DAVIDSON TWINCAM SPCN
COSMIC
エレガンスが感電する
還暦超えのロマンス
仙台のチョッパースタイルに全国のファンが胸ふくらますのは、こうしたショップが裏に控えているからだ。昔も今も、決して前面にしゃしゃり出ることなく、静やかにその存在感を誇示するとびっきり。粗削りなチョッパービルドの概念を一蹴した、精緻に作り込んだ美的シルエットで悩殺するハードコアボールだ。
「スポーティーなソフテイルみたいな感じかな。これを見てウチっぽいバイクだと思ってくれるのは、まあ自分のどこか記憶の中から出て来てるからね。今まで見てきた中で良いと思った物とか。あとは完全なる好みの問題(笑)」
代表三浦さんの手に掛かれば、往年のFRISCOスタイルを始め、モダンなニュースクール系チョッパーまでが同店の『色』に染められ、着地する。そしてこの芯を突いたシルエットと、隙のない金属加工がいつだってフリークの心を奪ってきた。
「このバイクはお客さんがいて製作してるもの。だから最初に要望を聞き入れて、それをアレンジして作ってる。ライザーでポジションを高くしてフォークはワイグラでとか。あとはブレーキが効くようにだったり。見た目もあるよね、エンジンポリッシュしたり」
苦労した箇所を尋ねれば、外装をすべて鈑金で作った点だと言う。鉄を叩き出して成形したタンクとフェンダーは、市販品と見まがう自然な佇まいである。パーツ単体で主張するのではなく、あくまでも全体のシルエットを優先した手法が同店のカスタムマナー。
「みんなやってるやつだよ」、と話すタンクのラバーマウントにしても、実際その手間は大きい。フレーム側にタブを付けて、相対するタンク下側にはネジ山とタブが収まる凹みを用意。そして、ボルトがどん突きで止まった時にラバーをスペーサーのように効かせるわけだが、ボルト穴の中に筒を入れてそれ以上締まらないように設計。他にも、あえて聞かなければわざわざ口を割らない箇所のオンパレードである。
見た目もきびしい。ポリッシュエンジンやクロームパーツに合わせた、スパニッシュゴールドのアクセントになるパーツチョイスが刺激的だ。前後に装着したブラックを差し色にするビレットホイールやサンダーヘッダーのマフラーに顕著だが、ともすれば優雅なニュースクールチョッパーで終わるところを、どこかピリッとした緊張感が漂う。
コズミックの背景にある、温室育ちにはないタフ&クール。やはりオーナーも、還暦を軽く超えたバリバリのタフガイだ。
HARLEY-DAVIDSON TWINCAM SPCN DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはドラッグバーでハイライザーはコズミックのオリジナル品を装着。マスターは左右共にPM製。
FRONT FORK
特徴的なフロントエンドはワイドタイプの6インチオーバー。ビレットのトリプルツリーは7度レイクを選択。
FRONT WHEEL
ホイールは氏がひいきにするビッグマシン製。ハブや色合いといったセミオーダーが効くことを美点に挙げる。
GAS TANK
ガスタンクは鉄を叩き出して成形したワンオフ。ラバーマウント加工を施し、スパニッシュゴールドを塗る。
MUFFLER
マフラーにはダイナ用のサンダーヘッダーをセット。走りを意識したパフォーマンスパーツにウエイトを置く。
REAR FENDER
リアフェンダーも鉄で鈑金したセクション。『やった感』をひけらかさない自然な仕上がりに同店のマナーを見る。
BUILDER’S VOICE
COSMIC
住所 | 宮城県仙台市宮城野区岡田字南高屋敷19-6 |
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電話 | 022-352-4322 |
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営業時間 | 13:00 ~ 19:00 |
定休日 | 不定休 |