HARLEY-DAVIDSON XL883
VIDA MOTORCYCLE

色鮮やかに駆け抜ける
才色兼備のマグナムブルー

独創的なメタルワークで魅せる、フルスクラッチ・チョッパーで国内外のファンにその名を知らしめ、昨今はダイナやFXRによるハイスピードスタイルを続々とリリースするヴィダ・モーターサイクル。

今回紹介するのは、そんなヴィダのメタルワークの妙と、走りに対する造詣の深さとを同時に見るスポーツスターだ。

まずはその圧倒的なエンジンからご覧頂きたい。一瞥してストックとは明らかに違うギラついた存在感を放つそれは、S&S製のコンプリートエンジン”SB100”。これはドラッグレースやフラットトラックレースで使われるS&Sのスポーツスター用コンプリートの中で、最も高いパフォーマンスを持つエンジンだ。

このモンスターを心臓に迎えるにあたり、他のセクションにも選りすぐりのパーツが使われた。ミッションはベイカーの6速をインストール。軽量化とオイルの分離を図りプライマリーはオープンに。フレームこそストックだがスイングアームは延長、さらにフロント＆リアともブレーキはブレンボ、サスペンションはオーリンズ……。惜しみないハイエンドパーツの選択に軽い眩暈を覚える。

そして、目を奪われる濃いブルーを身に纏ったエクステリアである。同系色で淡くフレイムスが描かれ、それらブルーを引き立てるように、ふちに配されたホワイトが強烈なコントラストを生む。この組み合わせは往年のYAMAHAのワークスチームが愛したストロボカラーを彷彿とさせるものだ。

タンク上面に描かれたトライバルのデザイニングはまさにヴィダの真骨頂。ボリューミーなフロントからエンドにかけての美しいライン。このグラマラスな造形に魅了されるファンも多い。

オイルタンクもワンオフで製作されたものだ。スポーツスターのフレームワークを生かしつつ成形されたタンクからは、ステンレスパイプで作られたオイルラインがレーシーな雰囲気を醸し出している。

フロントホイールに敢えて口径の大きな21インチを履かせることで、レーシーなだけでなく車両全体の美しさをも追求するなど、『走れるバイク』でありながら、『魅せるバイク』であることも決して忘れないヴィダ・モーターサイクル代表、大久保卓也。一挙両得、才色兼備な一台である。

（写真・文／マツモトカズオ）

GAS TANK

均整のとれた女性的な曲線を描くタンク。繊細でエッジの効いたペイントはガンズカスタムペイントの仕事。

CARBURETOR

キャブは大口径S&SのGをセレクト。エアクリーナーはVIDAオリジナルのファンネル。点火はダイナ2000i。

OPEN PRIMARY

メカニカルなルックスのEvolutionオープンプライマリーをインストール。バックステップはワンオフ製作された。

SEAT

シートはスタイルシートカスタムの仕事。座面に張られたバックスキンは加速時のホールド性にも優れる。

MUFFLER

マフラーはトランプのフルチタンマフラー。チタン独特のなまめかしい焼け色がボディカラーの青と同調する。

TIRE

タイヤは前後ピレリ・ナイトドラゴン。延長されたスイングアームの下部にはさりげなく補強が入れられる。