HARLEY-DAVIDSON XL883R 2003
SATSUMA CYCLE WORKS
真似すらできない
脅威のフラッシュマウント
ランボルギーニやロールスロイスといった高級車が並ぶショーウインド越しにディスプレイされた、一台のレーサー。近未来的フォルムに身を包んだ『PILL BUG(ダンゴムシ)』は、大阪のサツマサイクルワークスが手掛けたスペシャルメイドである。
ショールームのオーナーとサツマ代表石原さんとの交流は共通の知人を介して始まり、今では石原さんがハイエンドなカーホイールをデザインするまでのパートナーシップを構築。そうした経緯があって、このピルバグは高級車の傍らに飾られているそうだ。
未完ではあるが、氏の作りたいように作った、サツマのデモバイクである。ショーネームに掲げたダンゴムシ的フォルムはレーサーをモチーフに、スピード感を演出して成形。そして全体的に取り入れた技巧の、『フラッシュマウント』が最大の見せ場となっている。
このフラッシュマウントは、取り付けボルトなどが見えないようにクリーンな表面処理を行う高度なテクニックで、その実現にはほとんどのセクションをワンオフする必要がある。しかし、プロショップの駆け込み寺的存在の同店の技術力を持ってすれば、そのイメージを具現化することは可能。いわば、ごく限られた手練れのみが成し得るカスタムと言えるだろう。
外装はオールアルミで製作された。まずフォークだが、当然割り締めボルトの姿はどこにもない。これは機能的にも問題が無いようにイチから設計した物で、あらかじめ下からステムシャフトを三つ又にねじ込んでおき、上側からセットして下から締め込み調整するという構造である。またボトムケースも、下側から三つ又にねじ込み、インナー式のクランプでロックさせる手法を取る。しかも三つ又の肉抜きは、通常上方向から行うのが一般的だが、レーサーにちなんで敢えて前後からシェイプされた。
タンクの脱着は、フロントのトンネル内側に国産車を思わすC型クランプを用意してそこに挿入。リアは斜めにスライドさせて固定する、ラバーマウントのデタッチャブル方式となる。同じくLEDを埋め込んだリアフェンダーもフラッシュマウントながらこちらはボルトオン留めで、オイルタンクにデタッチャブル式を採用。これらは常人には真似できない労力が注ぎ込まれながらもその跡を残さない、完膚なまでのクリーンな仕上げとなっている。
他にもホイールやスイングアーム、プーリーブレーキシステムなど、ほとんどの箇所をワンオフで製作。最新鋭の工作機械を操り、物作りに生活の全てを捧げた男の本気を前に、いつもの戦慄が走る。
HARLEY-DAVIDSON XL883R 2003 DETAIL WORK
FRONT FORK
アルミ削り出しのフォークに割り締めボルトの類は一切見当たらない。これぞフラッシュマウントである。
FRONT WHEEL
ホイールも削り出しの一品で、キャリパーはスズキ製ハヤブサの純正キャリパーをモディファイして装着。
GAS TANK
有機的な造形のデタッチャブル式タンクはアルミ叩き出しで成形。ペイントはマットなモノトーンで塗られる。
SEAT
シート下から後方のフレームはワンオフで製作。デタッチャブルのオイルタンク左側に電装系を収納する。
REAR COWL
アルミ叩き出しのカウルをマットに塗装。シートレールにツライチで合わせた後端部にLEDライトを埋め込む。
PULLEY BRAKE SYSTEM
ベルトのプーリーブレーキも削り出しで製作。スイングアームも一品物で全てのボルトはヘックスで統一される。
BUILDER’S VOICE
SATSUMA CYCLE WORKS
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