HARLEY-DAVIDSON FXLR 1989
MARUMASU MOTORCYCLE LOUNGE.
地平線をトレースする
ボンネビルの閃光
「これは10年以上前に、自分の足用としてカスタムしていたもの。でもこの店始めてからはボンネビルスピードトライアルに出るために改造して、実際に走らせたバイク。今は街でも乗れるような状態に戻していますけどね」
かつては、’89年式FXLRをベースにした純レーサーである。世界中から最速を狙った猛者が集うボンネビルで、2010~14年の間3度に渡ってチャンピオンの座を勝ち取ったワールドレコードマシンだ。
戦績を見ると、1650cc以下の自然吸気OHVエンジンのノーマルガソリンクラス、『1650mpg』に初参戦した2010年にいきなりFIMワールドレコードを樹立。翌年にはその記録を自ら塗り替え、2012年はAMAナショナルチャンピオンのタイトルをも獲得。レースファンには一目置かれる輝かしい戦績を誇ったスペシャルワンなのである。
そんなレーサーのストリート仕様とあればゾクゾクしないわけが無い。どこを取っても代表水谷さんのこだわり抜いたセクションで構成され、世界最速の名にふさわしいマッシブな存在感を放っている。ではとにかく、可能な限りディテイルを追ってみたい。
エンジンは1650ccが上限のクラスでありながら1550ccとされ、内部はポートヘッド加工に始まりエンジン全てにおいて、精緻な作業を延々と続けて到達した究極の仕様にフィニッシュ。FCRを2連で装着したマシンは後軸で108馬力をマークすると言う。
車体も半端ではない。何年もかけて試行錯誤の末に行き着いたフレームは補強から手を加えたもので、スイングアームも長さの吟味はもちろん、5段階の車高調整が出来るようにしつらえた削り出しである。これは氏が全幅の信頼を寄せる、ハイレベルな加工業者が軒を連ねた鈴鹿サーキットに近いプロショップに外注したものだ。チタン製マフラーもそこの仕事で、極限の『速さ』を求めた作りはもはや、機能美と言う言葉すらも凌駕する。
フロントフォークにヤマハYZF750R用を使い、リアは米国のレーシングパーツPENSKEをセット。共にサスチューンのスペシャリストであるスクーデリアオクムラの手で、狙うスピード領域といった多くのリクエストをもとにしたセッティングが成されている。
さて、どんなマシンなのかをこのまま伝えていくと終わりが見えない。なので、最後に世界を獲った記録を表記しておきたいと思う。
ボンネビルスピードウェイはコースを往復した平均速度で争われる。このマシンの平均速度は、約265km/h! それは、自然吸気のOHVエンジンを積んだハーレーダビッドソンでのものだ。
HARLEY-DAVIDSON FXLR 1989 DETAIL WORK
FRONT FORK
ヤマハYZF750Rのフォークを流用し、スクーデリアオクムラでチューンド。三つ又は削り出しのワンオフ。
GAS TANK
FXLR純正タンクを使い単色で塗装。上部にはボンネビルで参戦した2010~12年の3回のステッカーを貼付。
FRONT WHEEL
ホイールも同じくYZF750Rで、キャリパーは削り出しのAPレーシング製シックスポッドで強固な制動力を確保。
ENGINE
1550ccエンジンにFCRを2連装着、約265km/hをマークする。黒と赤の外見の色目にも配慮している。
SEAT COWL
カウルは東京練馬のホットドックに依頼したアルミの叩き出し。現エーシックスの田中さんが担当したそうだ。
REAR END
レーシングマシン特有のメカニカルな造形。ワンオフのスイングアームには車高調整用の穴が5つ用意される。
BUILDER’S VOICE
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