HARLEY-DAVIDSON FXR
BOOTLEG
色気で増長する
危ういクラブスタイル
FXRのフレームにツインカムエンジンが搭載されたマシンである。しかし、そもそもFXRはエボリューションの代で生産を終了し、ツインカムモデルには存在しない。そう、このマシンは、運動性能の高いシャシーに最新のエンジンを積んだ理想的なセットアップで入庫して来たスペシャルである。
ロングクルーズ仕様のクラブスタイルにメイクしたのは、埼玉県川口のブートレグ。今ほどの盛り上がりを見せる以前からクラブスタイルのポテンシャルを見出し、ミリ単位でマシンバランスにこだわってきた同店だが、やはりその手に掛かればひと味もふた味も違うフィニッシュとなる。
全方位、問答無用にエッジが効いている。例えば、このバイクが駐車してあるからといって通行人が思わず記念撮影してしまう類のものではない。どちらかと言えばその対極にある、切れ味鋭い一台だ。
危うい雰囲気を放つ最たるポイントは、このカウルだろう。FRPパーツの製造屋、フルゲイン製をベースに、内部のBOX加工やフォグランプ用の穴開けを別注したセミオーダー品である。そしてそれを装着するのだが、ここからの位置出しが同店の本領が発揮されるところで、正にミリ単位の調整が行われる箇所だ。ちょっとしたズレがそのマシンの良し悪しを決定付けるため、すべては作り手の腕に委ねられる。経験と感性が物を言うセクションだ。
では、他の部位はどうだろう。元々付いていたタンクはインジェクション仕様に合わせて加工され、リアはホイールの18インチ・180ワイド化にフィットするようフェンダーを真ん中でカット。鉄板を継ぎ足し幅を広げて対応している。そして、フロント周りにも労力の跡が伺える。当時ダブルディスクの49φフォークは存在しなかったために、V-ROD用が入庫して来た時点で既に装着されていた。そこに世界的に高い評価を受けるレーシングパーツ、GPRスタビライザーがセットされた。
FXRフレームとツインカムエンジンのコンビネーションのみならず、要所に使われるハイパフォーマンスパーツや、車高を上げたナイトロン製リアショックなど、ストックで余りあるパワーを十二分に堪能するための足周りの武装がしっかりと確保されている。そしてとどめは、このカラーリングだ。
艶消しブラックをベースに、艶ありブラックとグレー、ゴールドのラインが見るも美しく描かれたそれに、思わずため息が漏れそうになる。ここまで大人の色気を漂わす配色には滅多にお目に掛かれない。そこに来て更に、アクセントのゴールドパーツがチラリと覗き追い討ちをかける。
『危うさ』と『大人の色気』が同居したクラブスタイル。スキモノをフリーズさせるに十分な一台である。
HARLEY-DAVIDSON FXR DETAIL WORK
FRONT COWL
フルゲイン製カウルをベースに内部のBOXやフォクランプ用の穴を別注依頼。迫力のあるフロントマスクだ。
FRONT WHEEL
純正ダブルディスクで不安の無い制動力を確保。フォークはV-ROD用49φが装着される。ゴールドカラーが効く。
CRASH BAR
違和感なく溶け込むデザイン性の高いオリジナル商品のクラッシュバー。プレート部分はカラバリを用意。
GAS TANK
インジェクション仕様に対応するよう加工。九州のピンストライパーBOOによるピンラインがドロウされる。
MUFFLER
現在手に入りにくいサウィッキースピードショップ製。見た目と性能を併せ持つハイパフォーマンスパーツ。
REAR END
180ワイドに合わせてリアフェンダーの幅を広げ、シッシーバーを装着。ショックはナイトロン製で足回りを強化。
BUILDER’S VOICE
BOOTLEG
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