HARLEY-DAVIDSON FLSTSC 2007
HARLEY-DAVIDSON CITY NAKANO
コミスキーエンブレムが物語る
細部に凝ったツインカムボバー
ひと言で、サジ加減が見事なカスタムだ。やり過ぎることなくサラリと、しかし、見る人が見ればニンマリしてしまうようなディテイルを持つ一台である。現行のツインカムエンジンを使い、1940年代のボバースタイルをイメージして製作したのは、ハーレーダビッドソンシティ中野。そう、実はこれ、ディーラーカスタムなのだ。
2007年式スプリンガーソフテイルクラシックは、見るもスタイリッシュな装いに手が加えられた。そしてプロデュースしたのは、シティ中野のカスタムを一手に引き受ける店長の松本さんで、旧車から最新モデルまで幅広い知識を有した氏の感性がいかんなく注ぎ込まれた一台となっている。
「ツインカムの素性を崩さないで’40年代の雰囲気を出したかった。あとはストリートでオシャレに乗れることを前提にして製作した。まあ、やり過ぎずカッコ良くという方向性です」
このフレーズがすべてを物語っているマシンだ。作り手の「どうだ!」的な押しの強いインパクトはなく、全体的にそよ風が吹くかの爽やかな空気感である。とは言え、その洗練された佇まいには『通』をも唸らすスパイスがさり気に忍んでいたりするのだが。
ハンドル周りから見ていこう。スプリンガーフォークのトップティーに丸棒を溶接してドッグボーンライザーを装着。それに合わせてレプリカのフランダースハンドルを付けて、狙い通りの’40年代のボバーライクなスタイルを入手している。
そして、タンクである。シェイキンスピードグラフィックスの清水さんによるペイントワークもさることながら、エンブレムに注目したい。アメリカ海軍を意識したカラーリングと調和するそれは、当時のパーツメーカーCOMISKEY(コミスキー)製である。このヴィンテージファンには堪らないパーツは、再メッキと塗装を施した状態でセット。レプリカではなく本物を使ったのは、イメージした年代のパーツを実際に付けることでオーナーと拘りを共有したかったからだそうだ。
他にも、前後ホイールにはレーシーな印象を出すためHリムを採用。それに合わせてスポークもステンレス製ですべて張り直されている。シートやバッグに関しても、見ての通り、既存のラインナップには無い独特の風合いを醸し出した逸品となる。これはジャンクモーターの林さんによるワンオフで、リベットひとつにもクオリティの高さが現れている。
「制限のあるディーラーカスタムということで毎回苦労しますが、今後もこうしたオシャレな車両を作っていきたいですね」、と話す松本さん。1956年式パンヘッドを愛車に持つ氏による深みが、このカスタムにはある。
HARLEY-DAVIDSON FLSTSC 2007 DETAIL WORK
HANDLE
‘40年代のコンセプトの要になるハンドル周りは、ドッグボーンライザーとフランダースの不動のセットアップ。
FRONT WHEEL
レーシーなテイストを出すため、リムはさり気にH型リムを装着。スポークはステンレス製で張り直された。
GAS TANK
ペイントは当時のパターンに倣い、紺とブルーグレーのツートンで塗装。エンブレムは本物のコミスキー製。
ENGINE
カムカバーは鋳物パーツメーカーFORKとの共同開発品。ロッカーカバーはドラッグスペシャリティーズ製。
SEAT
ジャンクモーター製のワンオフサドルシート。シンプル&オシャレにというオーダーに、見事な腕で応えている。
REAR END
サドルバッグもジャンクモーター製。フェンダーストラットやテールライトも塗装され完成度が高められる。
BUILDER’S VOICE
HARLEY-DAVIDSON CITY NAKANO
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