HARLEY-DAVIDSON XLH883 1990
CRIB MOTOR CYCLE
敢えて純正流用に挑んだ
ハードテイルEVOスポーツ
「スポーツスターの野暮ったいところを全部切り取って、見栄えがするようにしたかった」。クリブモーターサイクルの小川さんが得意とする、ストリートに溶け込むチョッパーにメイクされた1990年式XLH883。4速トランスミッションの最終イヤーを素材に、ボルトオンハードテイルでリジッドライクなフォルムが演出された。
元々はサス付きのフレームにこだわりを持っていたが、ある時ふと、リジッドフレームを触りたい衝動に駆られたそうだ。しかしそこは、元来の負けん気というか頑固な性分が勝り、「リジッドに乗りたいからバイクを買い替えるっていうのが凄い嫌だった」と、今手元にあるバイクを使って最善の施策を取ることにした。
要は、小川さんのスタンスが、1台のバイクと納得ゆくまでじっくりと付き合っていくことなのだ。欲しい物が出ればすぐそれに飛び付くのではなく、あくまでも自分のフェイバリットは慣れ親しんだ一台のみ。それで十分だし、お客さんにもそうして欲しいという思いもある。そして、そこから導き出した解答が、ボルトオン・ハードテイルだった。
更に、このチョッパーには隠れたキーワードも潜んでいる。それは、純正パーツを生かしてどこまで出来るか、である。いきなりリプレイスパーツに交換するのではなく、ましてやワンオフ前提の作業をするでもない。「なんかやってみたかった」という小川さんの好奇心のみで、純正を流用した難題に取り掛かることになった。
ノーマルのフロント周りは、まずアウターチューブの反射板が付く箇所をスムージングで均した後に、旋盤を使い細かなスリットを1本ずつ入れていき、狙い通りのデザインに仕上げられた。そして、お次はタンクである。純正のキングスポーツタンクをベースに、縦、横、高さを少しずつ詰めて、溶接で綺麗に繋げられている。言うまでもなく、これはキングではなくスモールタイプのスポーツタンクで代用出来るものではない。キングタンクの全方位を詰めることで、通常のスポーツタンクでは成しえない丸みを帯びた形状を生み出すことが可能となる。
こうしたアイデアとこだわりの純正プロジェクトはまだ終わらない。エアクリーナーに注目して欲しい。どこかのオリジナルパーツかと思いきや、こちらも純正をベースにした部位だ。これは一般的な『1200』の文字が入るエアクリーナーが元の形である。使ったのは原型の角4つで、そこを合わせてオリジナリティある形状に完成させた。
そして、最後はやはりメインのボルトオンハードテイルだろう。「アイアンスポーツのKフレームをぼーっと見てた時に、エボのスポーツもこういう風に付け替えられれば良いのにって考えたのがキッカケだった」、という4速スポーツのボルトオン・ハードテイル化。曰く、大切なポイントは「スポーツスターをあきらめないこと(笑)」だと締めくくってくれた。
HARLEY DAVIDSON XLH883 1990 DETAIL WORK
HANDLE
ロボハンはワンオフで製作、ライザーのクランプ部にはデザインを兼ねた無数のスロッテッド加工が施された。
FRONT FORK
フロント周りは純正をモディファイ。ヘッドライトはスワップミートで入手したトラクター用を装着する。
GAS TANK
優しくゆるやかな曲線を描くタンクにはLOVE EAR ARTによりアーティスティックなグラフィックが入る。
HARD TAIL
アイアンに触発されEVOスポーツでハードテイル化。リジッドフレームさながらのカスタム度の高い造形。
ENGINE
エンジンには手を入れず、側のエアクリーナーに注力。ノーマルの角4つをうまく使ったアイデアパーツである。
REAR END
フラットフェンダーとスパルトテールのシンプルなリア周り。スリット入りのステーはワンオフで製作。
BUILDER’S VOICE
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