HARLEY-DAVIDSON FXST
Nacell
最終ラインでもみ合う
背負った先の淡い楽園
ネック周りをスッと上方にカチ上げたフレームは8インチストレッチで、その大柄な骨格に合うよう前後に23/18インチの大径ホイールをセット。そこに300ワイドの迫力あるリアタイヤと無数の緻密な作り込み、グロスブラックとマットブラックで陰影を付けた危ういボディカラーの雰囲気が合わさり、見る者に迫るかのインパクトがある。
このツインカムFXSTは全体のブラックカラーから受けるタフな印象とは裏腹に、やはりナセル特有のデコレイティブな美を内包した一台に仕上げられた。タンクやリアフェンダーを始めとするアーティスティックなまでの鈑金加工はいつものように徹底され、フリークならずともため息を漏らさずにはいられない。
「最初から明確にこういう風に作ろうというよりは、製作していく過程でカタチになっていく感じです。もちろんオーナーが希望するイメージを前提にしてますけど、そこにウチがやりたいことを取り入れさせてもらったりしてますね」
この一台に関して、やりたいことはほぼやらせてもらえたと代表の酒井さんは言う。フレームワークから各パーツのワンメイク、そして更に、ボルト1本に至るまでが無欠。既製のプラスネジを嫌い、わざわざ色染めしたマイナスやヘックスネジを使い分けた箇所を思うと、その手間暇に圧倒される。
マスターを設置したメカニカルなフロントキャリパー周りも同店ならではのディテイルだ。単純に、ブレーキ、クラッチ共にアーリータイプのレバーが好きなことでチョイスするが、ドラムブレーキ用のそれにはマスターが付かないことで移設。見えない所に隠すのではなく、逆にデザインの一部として捉え、オイルラインも短くて済むベストな位置にマウントされた。
こうしたディテイルを見ても、パパッと簡単に終わらせたであろう形跡はどこにも見当たらない。どれもネジ1本から譲らない姿勢を持った、作り手のオンリーワンで構成されている。
「どれだけ時間をかけて鈑金加工出来るのかって、そこですよね。変な話、同じ道具が揃ってれば素人さんの方が期限が無い分良いものが出来るかもしれない。でもウチらはそうはいかない。どれだけ時間を突っ込んで痛みを背負えるかっていう、そこだと思うんですよ」
ギリギリで勝負し続けるバイクには、当然それなりの結果が付いてくる。痛みを背負えるかどうか。作り手の生きざまは、いつだって不器用だ。
HARLEY-DAVIDSON FXST DETAIL WORK
HANDLE
全てにおいて妥協の無い造形を誇る。圧巻のライザー一体のハンドル上には、ブロンズのオーナメントが付く。
FRONT FORK
フレームに合わせてフォークも8インチエクステンド。大ぶりなボディにはワイドグライドを均衡させる。
FRONT CALIPER
23インチホイールにキャリパーはブレンボを装着。アーリーレバーの採用でマスターをこの位置に移設した。
GAS TANK
全体の印象を踏まえ、両脇を絞り前後にストレッチさせたガスタンク。精緻なオーナメントの美が完成度を増す。
REAR FENDER
タンクと同デザインにリアフェンダーもフィニッシュ。各部の加工跡がマットなカラーリングにひと際映える。
SWINGARM
ドイツ・リックス製スイングアームに300ワイドタイヤを履かす。ワンオフのサイドナンバーも違和感なく調和。
Nacell
住所 | 群馬県高崎市上並榎町424-2 |
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SHOP | Nacellのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 18:00(平日)/12:00 ~ 17:00(土日) ※ご来店の前日営業日までにお電話お願い致します。 |
定休日 | 月曜日、第1・3・5火曜日 |