HARLEY-DAVIDSON XL1200 1995
KICK BACK
オーバーコートに隠した
手入れの行き届く代物
毎回作業場にいる顔ぶれが違う。見取り図的には、店内に入ってすぐがカウンターを配置したお客さん用スペースで、その奥がスライドドアで仕切った作業場という構図。でも、いつだってカウンターではなくその先の作業場で業者やお客さん達が談笑している。また、基本的に店主の加藤さん一人で営んでいる店だが、不定期でアシストするスタッフが数名いるなど、もはやいったい誰が何者なのかは聞かなければ分からない。今回も奥からひょっこり出て来た人がオーナーだったりと、なかなかトリッキーだ。
そのオーナーの要望を受け、細かい箇所まで妥協しないで製作したのがこの’95年式スポーツスターだそうだ。テーマは、シンプルである。
「オーダーはこう見えて意外と細かかった。純正タンクにしてもどんぐらい詰めてどんぐらいフレームに被せるとか、結構こだわってましたよ。出来たら普通ですけど(笑)」
当初は同店でよく使う汎用タンクをベースに作業を進めたが、上面のフラットな部分が気に入らず、再度敢えて純正タンクで作り直したほどのこだわりっぷりである。またオイルタンクにしても、シートレールより外側へ出っ張るのを嫌いワンオフ。張り出さないよう上手くインサイドに収めているのが分かるだろう。
「ハンドルも5回ぐらいやり直してるんですよ、こう見えて(笑)。見た目もそうだけど乗りやすさにも妥協したくなかったみたいで。あとは、高価なオーリンズ製ショックと前後にPMブレーキキャリパーを使ったプチ成金仕様がポイントですね(笑)」
ちょっと大人の余裕を見せたかったみたいだと、オーナーと近い距離感で付き合う氏は笑う。そして、そう言えば的にエンジンメニューについても説明する。
「何気にエンジンもやってて、ビューエルのヘッドにワイセコのコンマ5アップのオーバーピストンとハイカムを入れて一通りやってます。まあボアアップまでいかないリフレッシュ程度ですけど」
バイク全体を見渡しながら、ほとんどの場所に手を入れてるけどそう見えないのが特徴だと加藤さんは言う。ガソリンタンクとハンドルに始まり、フレーム後端のループ加工、オイルタンク、そして内側にオフセットさせたサス受けなど、確かにちょっと見では嗅ぎ分けられない広範に渡った仕事の数々だ。
「結果的に手を入れた部分が全然表に出てなくて良かったなと」。オーバーコートのフロントを両手で押さえ込んで路上に佇み、狂気の瞬間を待ちわびるかの一台である。
HARLEY-DAVIDSON XL1200 1995 DETAIL WORK
FRONT FORK
フロントは純正を約5インチローダウンし、ボトムケースをブラックアウト。ライトは汎用4.5インチを装着。
GAS TANK
タンク上面の理想的な曲面や幅、フレームへの被せ具合にこだわり製作。出来に納得行かず作り直した物である。
ENGINE
ビューエルのヘッドを使いワイセコ製ピストンを挿入したエンジン。キャブはHSRでカバーはTT&CO.製。
OIL TANK
スチールでワンメイクしたオイルタンク。シートレールの外側に出っ張らないようジャストに収められた造形。
REAR END
フレーム後端をループフレーム加工。ショックの受けはオイルタンク同様に内側へオフセットして張りを防止。
REAR SHOCK
加藤さん曰く、大人の余裕を見せたオーリンズ製ショックと、PM製ブレーキキャリパー。共に銀色で統一する。
BUILDER’S VOICE
KICK BACK
住所 | 東京都練馬区春日町3-35-17 |
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電話 | 03-3577-1941 |
FAX | 03-3577-1941 |
SHOP | KICK BACKのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日、第3水曜日 |