H-D FX 1979
NAVY’S CUSTOM CYCLE
腰を落として繰り出す
難所のテクニカルヒット
チョッパースタイルを主軸に据えながら、暖簾をくぐるお客さんの多様なニーズに応えてきたショップである。王道的コンパクトなチョッパーからロングフォークまで、そのふり幅は悠揚(ゆうよう)で、相手の求める要望をピシャリと射貫き信頼を積み重ねてきた。
こちらは、8年ほど前に製作した一台をリニューアルしたものだと言う。フロントと足周り、カラーリングを一新させることで、オーナーは再び数年前に得たあの興奮を呼び覚ましている。
「当時はお客さんも限られた予算の中でリジッドショベルに乗りたいということで乗ってたんですけど、やっぱり元々このカタチにしたかったみたいなんですよ。で、結果8年経ってますけどリニューアルして凄い満足してましたね」
作り手冥利に尽きるだろう。これまでも愛されてきたバイクが、更に磨きをかけることでこの先もずっと大切にされ続ける。そんな乗り手の人生に緊密に寄り添うカスタム屋という職種には、いつもながらまぶしさを感じる。
さて、今回店主の紺野さんが人一倍汗をかいた箇所は、ガーターフォークである。見ての通り、単なるガーターではなくツインショック仕様である。初の試みだと話すこの製作にあたっては、ショック自体の探索に多くの時間が要された。
「シングルのバネレートを単純に2で割ったものを探さないといけないですよね。それで探してく中で何本か無駄にはしたんですけど、あるメーカーに問い合わせたらバネレートを教えてくれたんです。で、最終的にこれに決まったんですよ」
前後ホイールには21/18インチのインベーダーを選択。共にディスクではなくドラムブレーキを合わせ、ライザー一体のハンドルは単一で製作。そのままシンプルに作ったのでは味気ないことから中央を立体的デザインとして、インナースロットル化されている。曰く、飾りの部位はマシニングでただ削っただけだと話すが、その辺の労力をなんらいとわないのが全国に点在するカスタム狂たちの典型例だ。
「あとはセッティングが難しかったですね。ホイールのドラムブレーキとの兼ね合いだったり。外注へのオーダーだったんで、元々のをしっかり寸法取りしないといけないんで」
一見シンプルに気負わずまとめたチョッパーに見えて、そこにはオーナーの要望を汲み取った難所が潜んでいる。が、その難所を例のごとくピシャリと、紺野さんは腰を落としたデトロイトスタイルで迎え撃つ。
HARLEY-DAVIDSON FX 1979 DETAIL WORK
HANDLE
ライザー一体のハンドルはインナースロットル化される。中央の立体的造作はマシニングを使い成形したもの。
FRONT FORK
今回初めて手掛けたツインショック仕様のガーターフォーク。ショックの手配に労力を費やしたとのこと。
GAS TANK
タンクは以前の物をそのまま使うがペイントで改新。パテを使ったエンボス加工は鮮やかなグリーンで彩られる。
ENGINE
納車してから8年間大きなトラブルのないストック1340ccのショベルモーター。エアカバーはFORK製。
SEAT
座り心地の良いぷりっとした量感をたたえるハイバックシート。バイクとの調和を計ったタックロールタイプ。
MUFFLER
マフラーはスタンダードなターンアウト仕様をセット。ショベルモーター固有の快活なサウンドに拍車がかかる。
BUILDER’S VOICE
NAVY’S CUSTOM CYCLE
住所 | 茨城県北茨城市大津町北町3301-10 |
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電話 | 0293-30-5350 |
FAX | 0293-30-5350 |
SHOP | NAVY’S CUSTOM CYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 水曜日 |