
H-D ULH 1937
STOOP MOTORCYCLES
チクチクッと脳に響く
スウィートエモーション
いきなり間合いを詰められてボディに一発喰らうのか。はたまた一定の距離感を保ちつつ爽やかにスパーを続けるのか。差し向かった時にこれほどすぐ先の未来が読めない人もいない。語ることなく、エモーショナル。店主のモーリーこと生森(いけもり)さんの話には、紋切り型じゃないエキサイティングがとっぷり満ちている。

1937年式ULHは、スウェーデン製のサーティーズフレームを使ったもの。それを軽めにチョップしてモールディング。あくまでコテコテのボテボテじゃなくて、ライトなテイストにまとめられた。
「やり過ぎるのは好きじゃない。ネックの鋳物のところも一応板を貼ってるけどあんまり癖が強くないようにしてる。あんまりボリューミーにパテして柄を入れない程度のモールディングかな」

フロントフォークは当初8インチオーバーでいこうとしたが、思いのほかネックが立っていたため12インチに変更。そこにプルバックハンドルを合わせて氏が一番好きなカタチにデザインした。
「ああ、それは’30年代前期の首が立ってる方のフレームを使ってるから。ビジュアルは良いんだけど俺が乗るとちょっと小さいんだよ」

基本的に自分からバイクの詳細を語ることはないが、聞けば応えるその姿勢はいつもの通り。そして自分が語ったことに関して「やべえ気持ち悪い(笑)」、とおどけてみせるあたりに氏の美学がふんわりのぞく。
他にも、計算し尽くした各所のパーツ配置なども軽妙だが、ここでいちいち触れるのはきっと先の美学にそぐわない。なので、そこはスキップするにしても塗装は別だ。数あるクライマックスの中でもここは外せない。

全身をポップなクリームカラーにしたのは黒めのエンジンとのバランスを考えてのもの。しかしそれだけの話ではなく、実は完全に鏡面仕上げでフィニッシュしたものを、敢えて手で磨きを入れてワントーン落として色味を調整。これはピカピカの状態だと他の部品と馴染まないため忍ばせたひと手間である。一方、タンクのグラフィックに関してはサンリオの『ぐでたま』がイメージソースだとおそろしい角度からの変化球も交錯する。

やはり一向に先の手は読めない。それは、ピリ辛の山椒の香りが口の中に広がって、チクチクッと脳を刺激するあの感覚。その味はモーリーさんのひたすらな小宇宙と絶妙なシンクロを見せて、思わず笑いが洩れてくるほどだ。
HARLEY-DAVIDSON ULH 1937 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドルにカリフォルニアバーを選択し、好みのセットアップにまとめられる。ライトはアリスのスクエアタイプ。

FRONT WHEEL
ホイールは前後21/18インチのHリムを。フォークの走安性を確保したスリーピースのスタビを装着する。

FRONT FORK
フォークは33.4φの12インチオーバー。ネックが立った’30年代前期のフレームに合わせてフィッティング。

GAS TANK
ワッセルのバナナタンクに、曰く『ぐでたま』をイメージしたグラフィックが入る。非凡な感性がうかがえる。

ENGINE
エンジンの黒に合わせて全体の色をコーディネート。黄色をワントーン落とすことで各パーツとの調和を計る。

MUFFLER
ワンオフのスラッシュカットを配置。長さ、マウント箇所ともに培った経験値のもとベストなポイントで固定。
BUILDER’S VOICE
STOOP MOTORCYCLES
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|---|---|
| 電話 | 048-485-1340 |
| FAX | 048-485-1340 |
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| 定休日 | 火曜日 |

H-D FXR
BMW Motorrad R100RS 1982







