H-D FXST 2003
Nacell
願いを託された
前進のフリーバード
エボリューションエンジン以降の高年式ハーレーを素材に、メカニカルなディテイルワークで構成したカスタムで名を響かせる群馬県の『ナセル』。その緻密な作り込みが一丸となった全体像に魅せられるファンは後を絶たず、それは今回のオーナーに関しても例外ではない。
「このカスタムスタイルのオーダーは定期的に頂いています。このお客様は10年ぐらい前からこういう感じで作って欲しいというのを計画していたそうです。ウチで作ってもらおうとプランを練られてたそうなんです」
ナセルの門を叩くファンには比較的こうした熱心な支持者が多い傾向がある。それはなぜか。しかしここで客観的な分析はナンセンスかもしれない。ひとえに、例え10年という歳月を待ってでも自分の夢を託したい場であるという真実こそがすべてだろう。
同店のカスタムの中でもスペシャルな枠に分類される『7R 260SP』。74スプリンガーフォークに260ワイドのリアタイヤ。ステンレス材とブラスキャップを組み合わせたハンドルと、エンジンのロッカー形状に沿って成形したオリジナルタンクをベースに、細かい味付けはそれぞれのオーナーに合わせて調整される。
「見せ場ですか? 見せ場というか雰囲気ですよね。まあ新旧というかグレーゾーンなところなのかなって(笑)。作業的にはやっぱり金属の部分が大変かもしれませんね。塗装するならパテを盛って修正出来ますけど今回は違いますから」
塗装ではなく金属の質感を全面に出したメッキ仕上げの場合、逃げ場はない。最終的にパテ盛りで表面を整えることが出来ないため、加工作業すべてのフィニッシュがダイレクトに仕上げに反映されることになる。代表の酒井さんは「そういう所は気を遣います」と多くを語らないが、つぶさな配慮は推して知るべし。リアフェンダーに無数に開けられたスロッテッドデザインの一糸乱れぬ精巧な手まめさから、それは容易に想像がつく。
タンクとフェンダーは鉄を素材にメッキで完遂。一方、オイルタンクやマフラー、そしてシートのオリジナルスプリングに至るまではステンレス製を使用。これらの使い分けは『サビ』を嫌ってのもので、末長く綺麗な状態をキープして乗って欲しいという作り手心理から来ている。
「極力余計なお金がかからないように付き合って欲しい。前に作った所がサビてるからそこも一緒にやり直してカスタムすることがないように、出来るだけ前進前進で楽しんでいただきたいですね」
HARLEY-DAVIDSON FXST 2003 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルやミラー周りはオリジナルパーツで統一。ステンレス製ロッダーバーはブラスキャップがアクセント。
MASTER CYLINDER
ブレーキマスターはスプリンガーの左横に移設。オールドルックのハンドレバーを介してキャリパーに作動。
GAS TANK
『7R 260SP』のメニューに組み込まれるオリジナルタンク。メッキ仕上げの上にブラックオーナメントで装飾。
OIL TANK
オイルタンクはステンレス製で外縁にカバーを付帯。左横のイグニッションプレートとデザインが均衡される。
MUFFLER
ステンレス製マフラーにブラスエンドキャップを装着。操作性に考慮したミッドコントロールもオリジナル。
REAR FENDER
260ワイドタイヤをセット。鉄製フェンダーをメッキ処理し、無数のスロッテッドデザインで完成度を高める。
Nacell
住所 | 群馬県高崎市上並榎町424-2 |
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FAX | 027-370-6617 |
SHOP | Nacellのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 18:00(平日)/12:00 ~ 17:00(土日) ※ご来店の前日営業日までにお電話お願い致します。 |
定休日 | 月曜日、第1・3・5火曜日 |