ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

HARLEY-DAVIDSON FLH 1958
NAVY’S CUSTOM CYCLE

December 11th, 2017

信じた土俵の番人

ストリートでの使用がメインのドラッグレーサー。しかも、ロングフォークである。ベース車両は’58年式のFLHで、『チョッパーで速いバイク』というめっきりシンプルなコンセプトのもと製作されたマシン。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

例えレーサーではNGだろうが、チョッパー=ロングフォークというスキモノたちの共通項を押さえて形にしたのは北関東の雄、ネイビーズカスタムサイクル。何にも迎合しない、日々カスタムと向き合うショップとしてのスタンスを明確に現わした一台だ。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

「エンジンの内部に着目すると、連桿比(れんかんひ)という部分がどうしても気になったんですね。まあピストンのサイドフォース(※横にかかる力)をなるべく少なくしたいと。そこでコンロッドをツインカム用のちょっと長いのに換えてます。説明すると長くなってしまうんですけど(笑)」

ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

いきなり専門性の高い宇宙語に、はてなマークが点灯。店主紺野さんの言う通り、きっとみっちり聞くなら半日はかかってしまうはずだ。要は、コンロッドが短いと連桿比が小さく、長いと大きいという法則である。そして、コンロッドが短ければサイドフォースが大きくなって摩擦抵抗が増加。一方、長ければサイドフォースを抑えて摩擦抵抗を低減。その結果、高回転までスムーズに回るエンジンになるという理屈である。長めのツインカム用にしたのはこうした理由からだ。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

更に、クランク周りはエンジンチューニングの第一人者であるサンダンスの柴崎さんにセットアップを依頼。ストローカーとビッグボアの排気量1530ccのパンヘッドモーターは、オリジナルのジュラルミン製ロッカーカバーで化粧直しを行い、堂々たる存在感を放っている。

「レースではまだこのバイクで1位を取ってないんですけど、あくまでもこのスタイルで速く走りたいというのがあります。本当のドラッグレーサーの形にしてしまうのではなくて」

ハーレー パンヘッド FLH 1958のチョッパーカスタム

エンジンに対する踏み込み方を見れば明らかだが、きっと誰よりも表彰台の真ん中に立ちたいはずだ。でも、そこはカスタム屋としての気概が許さない。「長い倒立フォークを付けたい」と長年構想し、ホンダCRM製をベースに徹底してモディファイ。そして前後のRSD製ホイールや精緻に削り出したフットコントロール、デザイン性の高いオイルタンクいちいちに同店の美学が宿る。『信じたチョッパーで真っ向勝負』。内に秘めた紺野さんの表情は、ひどく透き通っている。

HARLEY-DAVIDSON FLH 1958 DETAIL WORK

ハーレー パンヘッド FLH 1958のフロントフォーク

FRONT FORK

ホンダCRMをベースに原形を留めないロングフォークにメイク。バネ、ブラケット、三つ又すべてをワンオフ。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のフロントホイール

FRONT WHEEL

前後21/17インチともRSDホイールを装着。金のブラケットはワンオフで、キャリパーはPM2ポットのダブル。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のエンジン

ENGINE

ロッカーのオイル滲みが許せないとジュラルミンで製作。ストローカー&ビッグボアの1530ccパンモーター。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のマフラー

MUFFLER

マフラーは迫力のサウンドを吐き出すステン製ショートパイプ。フットコントロールは流麗に削り出した一品物。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のオープンプライマリー

OPEN PRIMARY

アルミ材の間に異素材のブラスを取り入れるのも同店特有の美的技巧。オープンベルトはBDLの3インチ。

ハーレー パンヘッド FLH 1958のリアエンド

REAR END

ストリートメインのため当然ナンバーステーをセット。シンプルな車体にひときわアクセントに効く造形だ。

BUILDER’S VOICE

NAVY’S CUSTOM CYCLE

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