ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

H-D PHOENIX SHOVELHEAD
SCOOTER TRAMP

June 20th, 2017

出る所と引く所
一歩下がった戦陣

ショップの『色』を打ち出すことなく、多彩なカスタムを繰り広げるハーレー屋である。店内を覗けば、今回のような強烈なチョッパーもあれば、ストックルックの旧車やサイドカーまでが並び、その謳い文句通りに間口が広い。

「このバイクはなんと言うか、お客さんの理想を形にしたってだけだよね。資料を用意してもらって、ああしたいこうしたいっていうのを汲み取っていった感じかな」

ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

店主の川島さんは一貫して裏方に徹する姿勢で、それぞれの好みに応じた要望を具現化してきた。そこに自らの主張を押すことはなく、『作り』に関する技術的な面でのみアドバイスを加えている。

「自分のこだわりはとにかく乗りやすくという点。ロングフォークのオーダーで、しかも初めてのハーレーというお客さんだったんでそこは乗りやすく作ってあげようと。やっぱりロングフォークで乗りやすくとなればキャスターとトレールがポイントなんで、そこを重要視してます」

ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

15cm以内。この数値は、川島さんがこれまでの経験で得たセオリーである。トレール量を15cm以内に収めなければハンドリングに影響し、重くなる。見た目も重要だけど、肝心なのはストレスなく走れること。26インチオーバーにも関わらず取り回しが軽いのは、この独自のマナーが活きてるからだ。

ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

そしてもう一つ。このトレール寸法を出すために効いた箇所が、フロントエンド下のロッカーだ。これは米国のSUGAR BEAR製を手本にしたもので、氏が、「すごい頑丈で乗りやすいロングフォークを作るところ」、と一目置くショップである。出所不明のフォークを使いながらも狙い通りの操作性を可能にするのは、この旨味が凝縮したロッカーによるところも大きい。

ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

ハンドルやタンク、マフラー、シッシーバーといった外装もすべてオーナーの希望に沿って製作。お任せで手掛けたデザインも多々あるが、当初描いた着地点から逸れることはまずない。これは柔軟な思考回路のもと育んだ、川島さんの勘所ゆえだろう。

ハーレー ロングフォークチョッパーのフェニックスショベル

ペイントのくだりも必聴だ。なんでも、塗装に関してはお客さんとペインターが直接の知り合いだったということで、氏はノータッチ。一体このチョッパーが何色になるかも分からず形作りをし、すべて完成したのを解体してペイント屋に預け、仕上がって来て初めて対面したと言う。

作り手ならば気になって当然のところを、敢えて、委ねる。頭を突っ込む箇所を見極めた、裏方に徹する姿勢はここまで腰を据えたものだ。

HARLEY-DAVIDSON PHOENIX SHOVELHEAD DETAIL WORK

ハーレー ロングフォークチョッパーのフロントフォーク

FRONT FORK

遥か前方に伸びたフロントフォークは出所不明の26インチオーバー。トレール量は15cm以内に調整される。

ハーレー ロングフォークチョッパーのロッカー

ROCKERS

トレール寸法を出すためロッカーは米国SUGAR BEAR製を手本に製作。21インチにPMキャリパーを装着。

ハーレー ロングフォークチョッパーのガスタンク

GAS TANK

スリムなシルエットのコフィンタンクはワンオフ。ペイントは山梨県甲府市のノマドコンセプトが担当した。

ハーレー ロングフォークチョッパーのフットコントロール

FOOT CONTROL

ロングフォークとの相性良好なフォワコンはアクトロニクス製。オープンプライマリーはプリモの2インチ。

ハーレー ロングフォークチョッパーのマフラー

MUFFLER

アイキャッチに効く迫力のマフラーはミッドハイマウントの左右出し。エンドはフィッシュテイルタイプとなる。

ハーレー ロングフォークチョッパーのシッシーバー

SISSY BAR

お任せで作ったと言うシッシーバー。交差や先端のボールなど全体の雰囲気に合わせてデザイニングされた。

BUILDER’S VOICE

SCOOTER TRAMP

住所 山梨県甲府市下曽根町390-1
電話 055-240-1480
FAX 055-240-1481
SHOP SCOOTER TRAMPのショップ紹介
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 木曜日、第3水曜日