トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

TRIUMPH TR6 TROPHY 1968
KICK BACK

January 23rd, 2017

希代の手練れへ送る
圧倒的賛歌

「ペイントはブリキのおもちゃがテーマ。これは昔影響を受けたショップがやっていたタッチで、僕がずっとやりたかったオマージュ的一台なんです」

かつて一世を風靡しながらも業界からスッと姿を消したカスタムショップへの敬意を表したマシンである。素材に選んだのは、1968年式のトライアンフTR6。リアサスペンション付という大前提のもとでカスタムは進められた。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

同店にとってはサス付きのトライアンフを扱うこと自体久しぶりということで、いやがおうにもビルダー加藤さんのテンションは上がってゆく。そんなパッションを内に秘め、まずはフレームの加工から取り掛かった。

「純正のシートレールは幅が広いんですよ。それがすごい嫌だったんで、全部引き直して細くしてる。あとはサス受けを上下にそれぞれ作って位置を変えて、社外のショートタイプを付けてます」

トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

キックバックは作り手の熱い感情とは裏腹に、「これでもか!」と手をかけた作りを前面に押し出すタイプの店ではない。あくまでもさり気ない加工をマナーとしている。今回もシートレールに手を入れながらそこを強調するでもなく、逆に、全体に馴染ませて存在感を無くしている。

前後ホイールはノーマルの19/18インチから前後19インチに変更。これは単純に氏の好みによるもので、タイヤはオールステートのブロックタイプを選択した。そして、こちらが意外なチョイスの真相を訊ねる前に、「なんかどこでもブリッと走れそうなイメージじゃないですか」と、屈託ない。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

そこで一番大変だったところを聞くと、タンクの加工という答えが返って来た。ベースに使ったのはハーレーのショベル用3.5ガロンの分割タンクで、右側を燃料/左上にオイルタンク/左下がまた燃料という3つのセクションに分けて、ひと回り小さいサイズ感にリメイク。左右に分かれた燃料をバイパスでつなぎ、オイルタンクのみ隔離した構造で仕上げている。「昔のインディアンとかもそうだし、どうしてもこの場所にオイルタンクを作りたかった」と、その動機はシンプルだ。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

そして、満を持してのペイントである。敢えてフリーハンドのベタ塗りとすることで、ちょっとしたはみ出と、丸や直線のズレを『味』として効果的に利用。ブリキのおもちゃというやわらかくアナログなイメージを、筆を使うことで上手く表現している。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のチョッパーカスタム

自分が丹精込めて手掛けたマシンを、オマージュだと氏は呼ぶ。100パーセントのリスペクト。見栄やプライドの入る余地のない、同年代に生きるカスタムビルダーへの圧倒的賛歌がここにある。

TRIUMPH TR6 TROPHY 1968 DETAIL WORK

トライアンフTR6 トロフィー 1968のハンドル

HANDLE

汎用のアーチ入りハンドルのセンターを詰めて装着。樽型のゴムグリップと併せて土っぽいイメージを演出する。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のフロントエンド

FRONT END

純正フォークにヴィンテージカバーをセット。汎用品のヘッドライトは外装と同じく筆のベタ塗りでペイント。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のガスタンク

GAS TANK

最も苦労した箇所のガスタンクは、右側が燃料/左上がオイルタンク/左下が燃料の3つのセクションで構成。

トライアンフTR6 トロフィー 1968の電装ボックス

ELECTRIC BOX

電装系はシート下にすべて格納。同じくペインターのヨッピーによりフリーハンドでグラフィックが描かれる。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のリアフェンダー

REAR FENDER

19インチ化によりサイクルフェンダーを幅詰め。シートレールのスリムなラインに合うコブラシートを選択。

トライアンフTR6 トロフィー 1968のリアホイール

REAR WHEEL

18から19インチへ変更したリアホイール。タイヤはオールステートのDIRTMANというブロックタイプ。

BUILDER’S VOICE

KICK BACK

住所 東京都練馬区春日町3-35-17
電話 03-3577-1941
FAX 03-3577-1941
SHOP KICK BACKのショップ紹介
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定休日 火曜日、第3水曜日