ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

HARLEY-DAVIDSON FLHTCU 1998
TWO KOOL HARD CHOPPERS

September 29th, 2016

仕上げの良さではなく
誰も見たことがないもの

今回は勝手が違う。まず、これほど手の入ったカスタムを手掛けるショップなのだが、率先してPRをしてきた形跡がない。そして、川口オートレース場の脇道という立地からなのか、薄暗い店内にはリアルタイムでレース中継が流れている。今までお邪魔してきたカスタムショップとはどこか異質である。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

しかし、蓋を開ければこの道20年以上のベテランであることが分かった。要は、現在盛り上がりを見せるカスタムシーンの遥か昔から変わらず、独自のスタイルを淡々と貫いて来たショップである。その名もツークールハードチョッパーズ。ショップと店主から受けたファーストインパクトは、燻し銀だ。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

ベースは1998年式のFLHTCUウルトラだが、もはや原型を留めないスタイルに大きく様変わりしている。狙いは、ボンネビルソルトフラッツを突き抜けるスピードブレイカー。そこに同店のお家芸となるアーティスティックなカスタムマナーが存分に発揮された。

骨格となるメインフレームにはパウコ製を使い、往年のノートンを彷彿とさせるフェザーベッドフレーム仕様に。オリジナリティあるシルエットを入手している。そして、タンクに入る今回のテーマに挙げた、DORSOL(脊髄)をイメージソースにした外装のメタルワークがスタートされた。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

では、プロジェクトの起点になったシートに注目しよう。真上から見ると明らかだが、メタルフィンを等間隔で配置しそのイメージを忠実に再現。また、それぞれの間に繋げられたパイプの長さは1インチである。これは、フレームを1インチ径のパイプで製作したためで、隙間から覗いた時のスペースを無くして、見る角度で1インチパイプと1インチの隙間が綺麗に重なる絵を作りたかったからだと言う。なるほど、相当に芸術肌的発想である。

そのイメージはタンクにも踏襲され、類のない造形を形成。ところが、DORSOLの外装のみが目的ではなく、最終着地点はあくまでもスピードブレイカー。見てくれだけの飾り物では終わらない。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

未知のスピード領域でも対応出来るようにと、金属パーツはすべて高強度のジュラルミンで製作。スタビライザー兼用のフェンダーは鍛金でスタビリティを向上させている。そして、ひと際目を惹くエンジン周りだが、ターボチャージャーのセットアップは譲れない箇所だった。

「ボンネビルのイメージがあるから絶対に付けたかった。セッティングが出ればそうだなぁ……、夢の話だと320kmは出る(笑)。強化ミッションが組みあがればエンジンに火は入るよ」

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のカスタムカフェレーサー

「見たことのない夢のあるバイクに惹かれる」と話す代表武藤さんの耳にはさんだワイヤレスからは、肉迫するオートレーサーの中継が絶えず漏れていた。

HARLEY-DAVIDSON FLHTCU 1998 DETAIL WORK

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のヘッドライトバイザー

HEADLIGHT VISOR

ノーマルバイザーを三分割にしてそれぞれをショートカット。新たに設けたアッパーカバーと合わせて溶接。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のスタビライザー

STABILIZER

ジュラルミン製スタビライザーはフロントフェンダーも兼ねた作り。昔ながらの鍛金で強度アップが図られる。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のガスタンク

GAS TANK

DORSOL(脊髄)がモチーフのタンク上部。フィンの間隔は1インチでフレームの太さに合わせられた。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のエンジン

ENGINE

ターボ搭載のエンジンは圧縮比9.5:1の約1480cc。カム、ピストン、バルブ周りにはSHIFTON製を使う。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のラムエアー

RAM AIR

ジュラルミンで作ったレース用パーツのラムエアー。工業製品にはないハンドメイド特有のリアリティが滲む。

ハーレー エボリューション FLHTCU 1998のメタルシート

METAL SEAT

カスタムの起点になったDORSOL(脊髄)シート。すべての外装に共通するジュラルミンを使いワンオフ。

BUILDER’S VOICE

TWO KOOL HARD CHOPPERS

住所 埼玉県川口市上青木1-25-7
電話 048-258-5206
FAX 048-258-5586
SHOP TWO KOOL HARD CHOPPERSのショップ紹介
営業時間 昼 ~ 夜中
定休日 不定休