トライアンフ T140V ボンネビルのカスタムチョッパー

TRIUMPH T140V BONNEVILLE
LIBERTARIA

September 2nd, 2016

トラックマスターを狙う
良いとこどりのエリート

サーキットとストリート。サーキット走行だけを考えたマシンでは街中で浮いてしまう。かといって、ストリート仕様をサーキットに持ち込んだところで走らない。この一台はそんな相反するシチュエーションでもバランスの取れた、『良いとこどり』を念頭に製作された。

ベース車はT140Vだが、ほぼバスケット・ケースから組み直されている。フレームは’77年のものを使い、エンジンには’80年前後のクランクと、ヘッドはハリス時代の’86年近辺のものを採用。このヘッドは店主の藤久さんが実際にレースで使っていたものを移植したもので、吸排気系と共にチューニングが施されたものだ。

トライアンフ T140V ボンネビルのカスタムチョッパー

バラバラだった在り物を組み合わせて有効利用したと聞くと、どこか不安を覚えるものだが、チューニングに傾倒するスペシャルショップが担当したとあればそうした感覚は払拭される。いや、逆にキットではなく各セクションをひとつずつ組んでいったと言われた方が安心感を覚えるから不思議だ。

在り物で仕上げたエンジンは、どちらかと言えばライトなフィニッシュとされている。腰下はまだカムを組んだりと手を入れる余地はあるそうだが、いかんせんやり出したら止まらないのがこの手のチューナーの習性。そこのところ今回はほど良い加減で、ちょうど上手く抑えられている。

トライアンフ T140V ボンネビルのカスタムチョッパー

外装に目を移そう。サーキットはおろかストリートを走っている姿を想像するだけでも鼓動が早くなってしまうキレたスタイリングだ。文句ナシ。目を奪われるその存在感は、例えるなら20代でも40代でもなく、しなやかな佇まいの美しい30代半ばの女性といったところだろうか。

前後にアクロン製18インチをセットし、リアにはYAMAHA XS製のハブを流用。時代的に見れば本来はディスクブレーキが定例だがそこを敢えてドラム化とした。しかしハブの使用にあたってはベアリングを挿入するスリーブや、アクスルシャフトを作るなど知られざる労力が費やされている。

他にも、グリメカのブレーキパネルにもコダワリが現れていて、通常の物だとメーターギヤの取り出しが付いていて不格好。そこで取り出し無しのオプションのパネルに変更して、スロッテッド加工でデザインアップが成されているのだ。

トライアンフ T140V ボンネビルのカスタムチョッパー

そして実はこの一台、かの名車『トラックマスター』がイメージソースである。純正フレームにニッケルメッキをかけてあの風合いに落ち着くまでには時間がかかりすぎる。そこで、最初から近い色にパウダーコートで焼き付け塗装をし、ネック部には実車に倣ったレタリングを施工。藤久さんの「なるべくお金をかけずにトラックマスターを再現する(笑)」という狙いは見事に達成された。

「トラックマスターにしたければそれを買うのが一番早いし簡単。でもそこを、一般的にダメなものとされている750のオイルインフレームでやりたかったんです」

買えば済む話を、評価の低いフレームを使ってチャレンジするその姿に、同店のプライドを見る。

TRIUMPH T140V BONNEVILLE DETAIL WORK

トライアンフ T140V ボンネビルのフロントフォーク

FRONT FORK

艶めかしいアルミの質感が個性のイタリアの名品、セリアーニのトリプルツリーとオールドGPフォークを装着。

トライアンフ T140V ボンネビルのブレーキパネル

BRAKE PANEL

余計な手の入っていないグリメカのオプションパネルをセット。スロッテッド加工を施しデザイン性を向上。

トライアンフ T140V ボンネビルのガスタンク

GAS TANK

センターリブの入るタンクは鉄でワンオフ。濃紺のピンラインはエイジング処理で褪せた雰囲気が演出される。

トライアンフ T140V ボンネビルのプライマリーカバー

PRIMARY COVER

プライマリーカバーのみならずペダル、マウントステーに至るまで同一の穴開きデザインで完成度が高められる。

トライアンフ T140V ボンネビルのマフラー

MUFFLER

マシンのスタイリングに合致する上下に配されたワンオフのマフラー。ブラックアウトが最適な選択だ。

トライアンフ T140V ボンネビルのシートカウル

SEAT COWL

シートレールは思い切りよくショートカットされ、シートカウルはNICE! MCオリジナルを採用した。

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